古いギターをレストアついでに改造!レストモッドのすゝめ

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近年、エレキギターの値上がりが激しい…!理由は「木材の枯渇」「為替の影響」などが思いっきり価格に跳ね返って乗ってしまっているのだけど。Fender Japanのちょっとしたストラトキャスターを買おうとすると10〜12万円くらいするのではないだろうか?筆者が若い時は7万くらいで買えたんですけど…。

おかげで今より若い時に買ったGibsonやFender USAのギターの価値がドンドン値上がりしていく。GibsonのES-335を長期にわたって愛用してきているのだが、価値が上がるほど気軽に外に持ち出せなくなっていく。筆者がアメリカンデラックスストラトキャスターを買った時は円高だったこともあり、特売の新品が12万くらいだったのに、ものすごく値上がりしていた。価値が上がってしまったせいで「盗まれたり…」「壊れたり…」何かあった時のことを考えるとダメージがでかいのだ。

そこで気軽に持ち出せるギター、履き潰せるスニーカーのような感じの一本を用意することにした。ヴィンテージと呼ばれるほどではないけど今よりも古い80〜90年代のジャンクギターを、最新のパーツで再生しつつ改造することでお手軽に持ち出せる1本を作ることにした。自動車の世界でのこのような取り組みはレストモッド(Rest Mod)とも言うようですね。

音色はしっかりと20万くらいのギターの音を狙う。具体的に言えば筆者が愛用しているアメリカンデラックスストラトキャスターのサブに使えるレベルの音を狙う。

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素体は1980年代のFender Japanのボロいストラトキャスター


目をつけたのが80年代の音がでないFender Japanのボロボロのストラトキャスター。JVシリアルとか、Eシリアルとか、状態が良いものはもちろん凄く高い…!だけど87年くらいである程度、前のオーナーがボロボロに改造しちゃってる素体だったらオークションで手頃な値段で手に入る。なんだったら音がでないようなジャンク扱いの品はかなり安くなるのだ。

Fender Japanで形式はST-650 SPLという、USAのアメリカンスタンダードと同じ構造のものを2万円程度で入手した。最初からモダンな2点支持タイプのトレモロブリッジが搭載されているし、パーツの規格が現代のFenderのアメリカンシリーズと同じだからアップデートしやすくて本当に助かる。上位モデルのロック式のペグを簡単に移植できてしまうのだ。現代なら状態がよいものなら10万以上はするのではないだろう。

入手した時点で前オーナーが改造し倒していて価値が下がっていて、なおかつ音がでないからジャンク扱いで格安で入手できた。それこそ2万円代だった。具体的な改造内容は

・ネックジョイントがヒールレス加工
・ピックアップがSSH化されているけど配線がメチャクチャなので音はです

ギターを買うというよりは、木材を買う感覚だった。

この型あんま人気なかったのかな?何本かST-650 SPLを持っているけど大抵、改造されちゃってる個体なんですよね。どうせ改造するからボロボロで構わない。こういうのでいいんだよ

現代よりも良い木材で作られた古いギターを「最新」にアップデートしてみたかった

古いギターを最新のパーツでアップデートしてみたい欲望が昔からあった。それこそ、60年代のヴィンテージと呼ばれるストラトキャスターを最新のパーツでアップデートしたら使いやすくて凄く良い音がするんじゃないのかなぁ。昔のギターは確実に現代よりも質の高い木材で作られているし。

質の良い木材の枯渇は楽器だけにはじまったことじゃない。それこそ野球に使われるバットだって年々、木材が枯渇していって困ってるんだから。そのうち楽器メーカーとスポーツメーカーの間でアッシュとメイプルの奪い合いが勃発するんじゃないのかな。

ペグだとブリッジだとかのパーツは確実に現代の方が精度が高い。たとえばストラトキャスター用のトレモロブリッジも黎明期のものはチューニングの精度には課題があって独特の慣れが必要だった。だけど最新の2点支持タイプのトレモロブリッジだったらメンテナンスをしっかりすればかなり高精度を維持できる。販売されている商品も豊富だし。

高精度のパーツを古いギターに搭載したら確実に良い音がするはずだ。ウイルキンソンのトレモロとか確実に昔のトレモロよりチューニングの安定性が良いから演奏していて楽しいはずだ。

ただヴィンテージは歴史的価値があるものだから手を付けるなんてできない…!モナリザの絵にヒゲを描き足すようなものだ。オリジナルパーツであればあるほど価値が高まっていくから、楽器としての性能を高めるために改造することは、資産価値を減少させていくのに等しい。

そこで今から約40年くらい前のFender Japanなら現代よりも良い木材を使ってるだろうし、最新のパーツでアップデートしたら化けるんじゃないのかなと考えた。フル改造をしたとしてもヴィンテージギターを改造するような背徳感はない…(笑)。

ピックアップはFender USAの「Ultara hot noiseless」をチョイス

改造の話に移ろう。幸いペグや、トレモロは問題がなかったのだが、ピックアップが壊れていて音がでなかったのでFender USAの「Ultra hot noiseless」をチョイスした。アメリカンウルトラと言われる最上位グレードのSSHのストラトキャスターに搭載されているピックアップだ。スタックタイプでなおかつ高出力なもので僕に未経験だった。これが2万3千円程度。

肝心の音はというとものすごく現代音楽に合う素晴らしいピックアップだった…!詳しくはシングルコイルピックアップのレビューをまとめた記事に投函したのでそちらを確認してもらいたい。

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余談ではあるがピックアップを選ぶ際は「自分が求めるもの」をしっかりと把握したほうが絶対に良い結果を得られる。筆者はパソコンでDAWを良く行うのでとにかくノイズに強いものを求めていた。なおかつ、ヴィンテージFenderの香りを残しつつもある程度は現代音楽に対応できるゲインの高さを求めていたので「Ultara hot noiseless」を選定した。

内部サーキットを定番のパーツでグレードアップ

合わせて内部サーキットも全交換した。OAKの5WAYセレクター、CTSのポット、スイッチクラフトのジャック、ベルデンの配線材、オレンジドロップのコンデンサーに交換した。人間で例えれば内蔵を全部、入れ替えたような感じなのだろうか?内部サーキットの全交換と、ピックアップの交換をまとめてリペアに依頼したのだが工賃を合わせて3万くらいかかった。

余談ではあるが内部サーキットとピックアップをまとめて交換する場合は、リペアに依頼したほうがコスパがよい場合もある。お店側もまとめて交換する場合だと工賃を抑えてくれる割引も用意してくれていることがある。時と場合によってはリペアの力を借りたほうが良い結果を生み出せる。

トータルで9万円、部品集めで半年ほどかかったのだが非常に満足の行くストラトキャスターを用意することができたので皆様も是非!仮に今の新品のFenderジャパンのストラトの内部サーキットとピックアップを全部交換したら15〜17万くらいだろうか…?

将来的にはFenderの上位モデルに搭載されているロック式のペグと、ローラーナットを搭載したいと考えているが今はこれで十分。

YouTubeの影響もでかかった

YouTubeでレストモッドの実例を沢山みたのも大きかった。例えば90年頃のGrecoとGibsonにダンカンのピックアップを載せた比較動画など。どの動画を見れば見るほどレストモッドのほうがコスパがよく感じたのだ(もちろん演奏者の腕前の要素も大きいけど)。

MLBでの夢が破れた助っ人選手をNPBで再生するが如く

ボロボロのギターをレストアして一線級のギターに改造したいと考えたのは、僕が大好きなプロ野球も関係している。プロ野球には毎年、MLBでプレーしてた選手がNPBに流れてくる。

打って!守れて!走攻守揃ったバリバリのメジャーリーガーを取るにはNPBの経済規模では難しいのだ…!だって、NYヤンキースで大活躍中のアーロン・ジャッジ選手の2025年の年俸は約58億円…!(2025年のNPBの日本人選手の最高年俸は村上宗隆選手の6億円)流石に本物の一流選手を取るにはNPBの球団では年俸を支払うことができないのだ。

そこで100万ドルを目処にMLBで活躍できなかった選手をNPBで再生させることで、主力として活躍してもらう。MLB時代に後1つ足りなかった要素をNPBでの試合を通じて克服していってもらう。場合によっては日本での活躍が認められて巨人で活躍したマイルズ・マイコラスのようにMLBに復帰していくケースもチラホラ。

これって古いけど音がでないギターに新しい価値を付与することで、一線級のギターに負けない働きをしてもらおうとする僕のレストア計画によく似ていませんか?

あの有名ギタリストの愛機もレストアと改造から誕生したことも

世界を震撼させた有名ギタリストの愛機もレストアで誕生させたものもある。いくつか例を挙げよう

・ナイト・レンジャーのブラッド・ギルスのストラト、通称「ベイビー」

元々は知人から譲り受けた1960年代製のストラトキャスターのネックと、マイティマイトというメーカーが制作したボディーを組み合わせてを自身でレストアしたもの。ピックアップはSSHレイアウトでハムバッカーの部分にはセイモア・ダンカンのSH-4 JBを搭載。ブリッジはフロイドローズトレモロに交換。その他、ワイヤレスシステムが内蔵されたり、指板が継ぎ足されて22フレット仕様になっている。

・元ナイト・レンジャーのジェフ・ワトソンのレスポール

P-90が搭載されていたゴールドトップの1956年製のレスポールのピックアップキャビティを拡張して、ハムバッカーのピックアップを搭載して使用。こちらもセイモア・ダンカンのSH-4 JBをチョイス。その他、ジムダンロップのジャンブフレットに交換

このように有名ギタリストも自身の愛機をレストアさせつつ改造したものを使っているのだ。

レストモッドは気が引けるけどコスパの良いギターが欲しいなら

今回のようなレストモッドを施すにはある程度、いろいろなギターを触ったことがある経験値が求められるとは思う。改造パーツを選定するにしてもただ「音を良くしたいだけ」の抽象的な理由だと望んだ結果を得られないことがほとんどなのだから。

「あまり経験値がないけどそれでもコスパの良いものが欲しい…」というのならYAMAHAのPACIFICAを選ぶとよい。PAC612VIIという型だったら最初から、改造の定番パーツが乗っけられている。それでお値段はなんと7万円以下!2本目のギターを探している人は大抵は満足できると思う。改造を施すうえで筆者が良いと思っている点は以下の通りだ

・SSH構造で最初からセイモアダンカンの定番モデルが搭載されている
・ハムバッカーはコイルタップが搭載されていて便利
・ロック式のチューナーと、ウイルキンソンのトレモロと、グラフテックのナットが搭載されているのでちょっと調整すればアーミングをガンガン使うことができる

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なにより「ぼっち・ざ・ろっく!」の「ぼっちちゃん」こと後藤ひとりちゃんも使ってるし、自分も欲しいくらいです。


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