ART-SCHOOL 『luminous』は調和の取れたコース料理

音楽

音楽アルバムのレビューなどという抽象的なことをやってみたくて本記事を書いています。お題はART-SCHOOLが2023年6月14日に発表した『luminous』です。僕は本アルバムを一通り聴き、「調和の取れたコース料理」を楽しんだ後のような満足感が残りました。よくある音楽レビューのテンプレのような抽象的な言葉を省いてどこまで伝えられるかチャレンジしたと思います。はりきって行ってみましょう!

コース料理の様にアルバムを通しで聴いてほしいです

興味を持って聞かれる方は1曲目の「Moonrise Kingdom」から10曲目の「in The Lost & Found」まで通しで聴いて欲しいです。「このサブスク全盛期に何を眠たいことを言ってるんだよ!」と思われる方もいらっしゃるでしょうけど(笑)。冒頭に「調和の取れたコース料理」と評したように曲間の起承転結がしっかりしているのでじっくりと聴いていただきたいです。フレンチのフルコースを堪能した後のような満足感が残りました。

もちろん、好きな曲だけをピックアップされる楽しみ方も良いと思いますが、まずは一通り楽しんでいただきたいです。

筆者がART-SCHOOL – luminousで気に入った曲

筆者が『luminous』のアルバムで特に気に入ったのが1曲目の「Moonrise Kingdom」から2曲めの「ブラックホール・ベイビー」への繋がりの良さです。心地良いノイズに包まれた幻想的な1曲目から、ビートが強い2曲目への以降は対比効果が効いていて両曲の魅力を高めます。例えるならスイカに塩をかけることによって対比効果で甘さをより引き立てるのに似ています

4曲目のAdore Youも憂いとメロディーとビートが混ざりあって好みでした。Teenage Fanclub (ティーンエイジ・ファンクラブ)の『Grand Prix』あたりが好きな人の琴線に触れそうにも感じます。

アルバムのテームは「喪失と再生」

アルバムのテームは「喪失と再生」とのことですが、僕には再生に向かって強く進んでいく人間の力強さのようなものを感じました。戸高賢史さんのギターが作り出す轟音、中尾憲太郎さんと藤田勇さんの力強いリズム隊に乗りながら、木下理樹さんの儚い歌詞と歌唱が紡がれるのですが僕には確かな、生きていく強さを感じました。

乗り越えてきたからこそのオリジナリティー

これまでのART-SCHOOLの作品と比較すると、よりオリジナリティーが高まったように感じます。ノイジーで、メロウで、ビートが強くて独特な世界観を形成していいました。よくレコード店のポップアップに書いてある「ポスト○○」とか「ネクスト〇〇」のような陳腐な言葉で形容したくないです。これまでの作品からは、彼らの敬愛するUSオルタナティブ、UKロックの匂いが漂ってきました(もちろん、それでもオリジナルと言われる域にまで消化し、昇華されているのですが)が確実に1つ上のレベルに行った事を確信しました。数々のメンバーチェンジ、数えきれないほどのLIVE、そしてプライベートの葛藤を乗り越えてきたからこそ獲得した唯一無二のオリジナリティーなのでしょうね。

ファズの使い方の教科書

ギタリストの目線で見ると『luminous』はファズというエフェクターの使い方のお手本の様です。「よくこんなエグい音を綺麗に響かせるなぁ…」と関心するばかりです。特に1曲目の「Moonrise Kingdom」はファズと残響系を組み合わせた幻想的なノイズを楽しむことができます。ギタリストの戸高賢史さんの力量に感服です。

把握してる範囲の戸高賢史さんがluminousで仕様した機材

様々な媒体を確認しながら見つけた機材情報も随時、更新していきたと思います。『luminous』ではD.A.M-Fuzz Sound のMK3とFuzzaround、toneczar effectsのOTP FUZZといった強烈に歪ませることができるファズが活躍した模様

(1).Moonrise Kingdom
D.A.M-Fuzz Sound MK3(ファズ)+Empress Effects-REVERB(リバーブ)でmy bloody valentineのような轟音を形成。ジャズマスターのアーミングを上手く混ぜながら弾いた模様

(4).Adore You
D.A.M-Fuzzaround(ファズ)でツルッと弾いた模様

ART-SCHOOL TOUR 2023 luminousにも行きました

2023年7/14 (金) 東京 Spotify O-EASTで開催されたART-SCHOOL TOUR 2023 luminousのファイナルにも行ってきました!『luminous』の楽曲がどの様に生演奏で再現されるかが楽しみでした。また筆者が最後にART-SCHOOLのLIVEを見に行ったのが2017年でしたので彼らの元気な姿を久しぶりに見ることができました。

東京 Spotify O-EASTへは神泉駅から向かいました。オシャレな壁が多くてインスタ映えのための撮影場所に良さそうだと思いました(笑)。やっぱり人間は定期的に出かけたほうがインスピレーションを得られていいですね。

東京 Spotify O-EASTに到着。LIVEは体力に自信が無かったので2階から楽しみました。回ってしまった音ではなく綺麗な音で聴けたので結果的には正解でした。俯瞰の目線でART-SCHOOLのLIVEを楽しむことができました。

『luminous』の楽曲群は生演奏でもしっかりと世界観が再現されていました。サポートギタリストにニトロシティのやぎひろみさんが入られていたことも大きく、足りない音が無く世界観を完璧に再現されていました。やぎひろみさんは本当にギターがお上手だなぁ…と。超絶な速弾きができるとかそういう意味ではありません。ART-SCHOOLの楽曲を理解した上で、求められる音を的確に出して、「支える」という言葉が似合う素晴らしい演奏でした。これからの活躍が楽しみですね。

木下理樹さんは気持ちよさそうに歌唱されていて本当よかったです。活動休止前は歌うのが本当に苦しそうに見える時もありましたので。これからも元気に歌い続けて欲しいと願うばかりです。演奏されていたGibsonのFlying Vは2018年9月ごろに購入されたものかな?

戸高賢史さんはエフェクティブな音を完璧に再現されていてギタリストとしての技量の高さに感服しました。LIVEではタップダンスのようなエフェクターの切り替えは観ていて飽きませんでした(笑)。またボーカル曲も自然にこなされていました。1965年製の黒のFender Jazzmasterもとても良い音でした。

LIVE終了後にオフィシャルで当日のセットリストを再現するプレイリストを作ってくれました。雰囲気が伝われば幸いです。

ART-SCHOOLのLIVEを観に行ってください

2023年はイベントに出演されて生演奏をまだまだ披露されるとのことです。詳しくはART-SCHOOLのHPを確認してください。本記事をきっかけに聴いていただけたら幸いです

ART-SCHOOL

木下理樹(ボーカル・ギター)
戸高賢史(ギター)

サポートメンバー
中尾憲太郎(ベース)
藤田勇(ドラム)

ART-SCHOOL – luminous
品番:UKDZ-0240
価格:¥3,300(税込)

<収録曲>

(1).Moonrise Kingdom
(2).ブラックホール・ベイビー
(3).Bug
(4).Adore You
(5).2AM
(6).Teardrops
(7).I remember everything
(8​​).Heart of Gold
(9).End of the world
(10).In The Lost & Found

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